西荻窪は店主の趣味が凝縮された個人経営のお店が集まり、大型チェーン店の進出などで日々均一化して行く東京の中でもこのまちならではの文化を保ち続けている。
それぞれの店主が独自の審美眼によってセレクトした商品やサービスは、世間に対する態度や意思を表しているようにも見える。それは日々を継ぐための労働でありながら、自らの考えを示す表現となっているのだ。このような労働と表現の積み重ねによってこのまちは形成されている。
一方、アーティストの多くは制作によって生活に必要な収入が得られていないのが現状だ。しかし、だからといってアーティストにとって表現と労働が切り離されてしまっているかといえば、そうではないだろう。それぞれの活動が互いに還元され合い、分かち難く結びついている。
西荻映像祭2017では、これら営業中の店舗を会場として映像表現を展示する試みである。気鋭のアーティストが、店主が表現(または労働)する空間の中で表現する。
わたしたちは日々働き、蓄え、消費しながら生活しています。同じ時代を歩む人々の営みに触れ、また自身の生活にも想いを向けていただく機会になればと思います。
表現と労働のまだ見ぬ関係を目撃してください。
林 千歩 × フジクリーニング
12:00~20:00(木曜定休) 杉並区西荻北4-3-1
林 千歩 Chiho Hayashi
美術家。東京藝術大学油画科博士課程に在籍。過度なメイクを施した自身の身体を表象とし、様々なキャラクターに扮した自らを演ずる。無意識下を伏流するオブセッションに貫かれた諸相に、変身、あるいは脱皮が展開される。映像を中心に写真・立体・平面・ダンス・パフォーマンスなど様々なメディアに展開する。主な展覧会に、個展「パパ、ごめんなさい」(Art Center Ongoing / 東京/2014)、「牛窓・亜細亜藝術交流祭」(岡山/2014)、「島からのまなざし」(東京都美術館・T W S / 東京/2014)他多数。
フジクリーニング
西荻窪で70年以上営業を続けるクリーニング店。同店舗にてクリーニングを行っている。店内の螺旋階段を上がるとクリーニング済みの衣服を預けられるロッカールームを併設。
伊阪 柊 × 旅の本屋のまど
19:30~22:00(水曜定休) 杉並区西荻北3-12-10 司ビル1F
伊阪 柊 Shu Isaka
映像作家。様々な場所の地質構造や、地質学的な現象に関心を持ち、不可視的な領域にどこまで多弁なパースペクティブを注入することができるかを映像メディアを用いて考えつつ、映像特有の説得力を模索している。またそこに建てられた建築物や、複雑に関係し合う文脈をヒントに異なる文脈を発生させるような機構を制作している。主な個展に「Spherical Habitat」(PARADISE AIR/2016)、グループ展に「Mother – 大地の霊性」(モデルルーム/2017)などがある。
旅の本屋のまど
旅に関する本だけを扱う本屋さん。ガイドブックや旅行記だけではなく、文学や音楽、映画、思想、料理、スポーツ、政治、宗教など、様々なジャンルから、旅を感じさせてくれる本をセレクトしている。旅関連のトークイベントなども多数開催している
土屋 萌児 × ハンサム食堂
18:00~23:00 杉並区西荻南3-11-5
土屋 萌児 Hoji Tsuchiya
1984年東京生まれ。
2004年から映像作品の制作を始める。
現在ベルリンを拠点にアニメーション作品を発表し続けている。
ハンサム食堂
西荻窪南口から徒歩1分、個人経営の居酒屋が密集する通りに3店舗を構えるタイ料理屋。2001年から営業を続け、タイの屋台を感じさせる店内は常に賑わいを見せている。
奥田 栄希 × HATOBA
12:00~22:00 杉並区西荻北5-7-19 HATOBA.C.M.A 2階
奥田 栄希 Eiki Okuda
1985年東京生まれ。東京芸術大学美術研究科絵画油画専攻修了。古いテレビゲームを題材に絵画から映像表現を行う。近年は主に、延々と終わらないゲームや、バグを利用したゲームなど、市販の80年代のゲーム機で動作するゲームカセット作品を多数発表している。その過程はゲームプログラムを作成し、基盤にハンダ付け、ひとつのカセットにパッケージするところまで全て手作業で行われる。
HATOBA
全て色の組み合わせが異なる一点もののボーダーTシャツなど、オリジナルの衣料品を手がける「STORE」が、2016年にオープンしたコーヒースタンド併設のギャラリー。STOREは、西荻窪の100店舗以上が店先でお茶を振る舞う企画「西荻茶散歩」なども企画運営している。
田中 良佑 × 高架下空き店舗
12:00~21:00 杉並区西荻南3-24-1 西荻マイロード街
田中 良佑 Ryosuke Tanaka
1990年香川県出身。2014年東京造形大学造形美術学科絵画専攻卒業。2016年ポーランドヴロツワフ美術大学交換留学。2017年東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了。主な展覧会に2016年「ERASMUS」 (Aula、ヴロツワフ/ ポーランド)、2015年「STRONG SMART 賢明と傷心」(3331 Arts Chiyoda / 東京)、「躊躇」(HIGURE / 東京) 、2014 年「大館•北秋田芸術祭2014 里に犬、山に熊」(大町商店街/ 秋田)など多数。
高架下空き店舗
40年以上続く「西荻マイロード商店街」の一角。駅から徒歩2分の高架下に位置し、飲食、CD、クリーニングなど29店舗が並ぶこの商店街は、西荻窪に住む人たちが日常的に利用するスポット。
東野 哲史 × 信愛書店 en = gawa
12:00~21:00 杉並区西荻南2-24-15
東野 哲史 Tetsushi Higashino
1976年滋賀県生まれ。武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科卒業。非生産的生産活動という名目のもと、日常の取るに足らないものごとや単なる思いつきに対してのレスポンスを制作の起点として、インスタレーション、ビデオ、Web、パフォーマンスなど、メディアを問わず展開する。近年の主な展覧会:2017年「C-C-D」Edmund Felson Gallery(ベルリン)、2016年「滝川」Art Center Ongoing(東京)など多数。
信愛書店 en = gawa
昭和9年に早稲田で開業、昭和22年より西荻窪で町の本屋さんとして営業を続け、2014年より、展示やイベントを開催できるスペースを設けてリニューアルオープン。オーナーは、昭和50年より西荻窪で月に1度朝市を開催するなど、まちづくりの企画にも力を入れている。
創業85年のビリヤード場にて、橋本匠による映像を使ったパフォーマンスを開催します!
イベントタイトル:superplay
日時:8/26(土)、8/27(日) 16:30、17:30、18:30~ 30分程度(途中入退場可)
会場:ビリヤード山崎(杉並区西荻北3-19-6)
入場無料
橋本 匠 Takumi Hashimoto
トランスフォーマー。「イメージ」が人類に与える影響を表現する過程で独自のインプロヴィゼーション方法論「トランスフォーめいそう」を構築する。美術シーンを中心に多くの場でソロパフォーマンスを発表している。演劇ユニット山山山や、吉原芸術大サービスの企画運営なども行う。Aokid × 橋本匠として、横浜ダンスコレクション2016 審査員賞受賞。http://takumihashimoto.info/
助成:
杉並区文化芸術活動助成事業
TERATOTERAの活動をサポートするボランティアスタッフ「TERACCO(テラッコ)」を随時募集しています。
アーティストの制作補助やインベントの当日運営に関わってみませんか?
年齢性別は、不問。お気軽にご参加ください。