teratotera

「人と人、街と街とをアートでつなぐ」 中央線沿線地域で展開するアートプロジェクト

TERATOTERA祭り2012@吉祥寺 後期
NEO公共 『ART』

展示

祭り後期を締めくくるNEO公共『ART』は、10月末にアトレ吉祥寺で行われた展示にはじまり、11月には、井の頭恩賜公園の西方に位置する御殿山エリアの林をメイン会場として、9組の気鋭のアーティスト達が今年のテーマ「NEO公共」をそれぞれの視点で読み解き、2日限りの野外展示と2組のパフォーマンスを行いました。また、中には地域参加型の作品もあり多くの来場者を呼びました。

 

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村上慧《家主リレー》
2012年10月27日[土]・28日[日]12:00〜18:00|アトレ吉祥寺[花火の広場]
村上慧は、何百を超す人々が行き交う週末のアトレ吉祥寺に、「ノックしてください」と書かれた小さな「家」を設置しました。ノックしてみると、中の紐を持っていないと家が崩れてしまうというので、出てきた家主に紐を渡され自分が新家主となります。
何も知らずに作品を支え始めると、自分の時間を拘束されたまま、次の出逢いを待たなければなりません。流れる街の喧噪の中、この小さな「家」は通りかかった500人以上の足を止め、そこに出逢いを生みました。(高村)

 

《NEO公共『ART』》
太田遼、志村信裕、橋本聡、原田賢幸、山本篤、和田昌宏、assistant

2012年11月3日[土]・4日[日]12:00〜18:00|井の頭恩賜公園(御殿山から西園へ続く森、及び西園)
井の頭恩賜公園での2日間、今回ARTのメイン会場となったのは、武蔵野の林が残る井の頭公園の奥まった一角でした。
元々公園にある樹木の根を保護するための柵を、そのまま広場の中心にある街燈を囲むように伸長させ、落ち葉に埋もれた公園にそこだけ青々と夏の緑を出現させた太田遼の《立入禁止と夏の色》。樹下の一隅に、人が覗き込むのに程よい高さの緑色の鳥小屋を設置し、好奇心から巣穴を覗きこんだ人にだけチラチラと揺れる炎の映像を垣間見させた志村信裕の《Lamp》。
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太田遼 《立入禁止と夏の色》

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志村信裕《Lamp》

広場の片隅に木製の小さな小屋を建て、その裏の地面に排水溝を仕込んで、そこからあふれる水の動きと人の声で、地の底に押し込められたような心情を視覚化して見せた原田賢幸《勇み足と停頓の間は、思いのほか。または期待外れの。もしくは想像通りの。》
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原田賢幸《勇み足と停頓の間は、思いのほか。または期待外れの。もしくは想像通りの。》

そして、assistantの《Park Library》は、鹿避けのために作られた金網で囲んだ空間を私設図書館に仕立て、作家の選んだ建築関連の蔵書を並べて、訪れた人にその中から好きな一節を朗読してもらいipodに録音するという観客が能動的に関わることで成立するものでした。
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assistant《Park Library》
これらは、一見この自然豊かな公共の空間に溶け込んでしまうかのような作品群ですが、これと逆に、違和感はありながら、もはや見慣れた景色らしきものとなっていたのは、和田昌宏《頂級好吃極品井之頭団子》のトラック屋台と山本篤《ほこらとまい》の祠にあたるビニールシート小屋でした。静かな公園に突如現れた国籍不明の内装に彩られた団子屋台では、和田扮する無口な店主が、派手な装いの外国人アルバイトを介して客から受けた注文で団子を作りはじめるのですが、その調理過程を見守る客とギャラリーからは笑い声と悲鳴が交互にあがっていました。そして、少し林の奥まった場所に位置するビニールシート小屋では、近くに設けられた祈祷所で観客が願い事を書いて小屋の壁に貼りに行くたび、中から住人が出て来て、大声でどなったり、願い事にケチをつけたりして観客を戸惑わせます。この山本が扮する「神主」と称する浮浪者風の小屋の主は、一日4回ボート乗り場のある池の方へ出かけていき、船上で風変わりな獅子舞らしきものを披露していました。

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和田昌宏《頂級好吃極品井之頭団子》

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山本篤《ほこらとまい》

橋本聡が会場で展示したのは立て看板1枚。作家本人は、この場を走りながら他の展示作品についてコメントするなど、週末でにぎわう吉祥寺駅周辺の各所に出没し、街中で様々なパフォーマンスを行いました。
どの作品もNEO公共というテーマにふさわしい、ここでしか見られない2日限りの記憶に残る展示となりました。(千葉)

 

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山本高之《チルドレン・プライド 11.4 in 吉祥寺》
2012年11月4日[日]13:00〜14:30
子供たち12名が池の周りをデモ行進した《チルドレン・プライド》は、アーティスト山本高之の授業から始まりました。「こうなって欲しいと思う事をあげてみよう」と子供たちへ問いかけます。「ペンギンとネコとくらしたい」「スポーツカーがほしい」など出てきた言葉でプラカードを作ります。字が書けない子も文字の見本を見て一生懸命書くなど、つたないながらもそれぞれ思いの詰まったプラカードが出来上がりました。次はプラカードに書いた言葉を声に出す練習です。ここで恥ずかしがる子から声を引き出すのに山本が本領を発揮、30分の練習で最後は見違える程に声がでるようになっていました。いよいよデモ行進の実践です。多くの人がいる中、子供たちは堂々と声を張り上げ、大人に頼ることなく30分程のデモ行進をやり遂げたので、見守る大人の感慨もひとしお、井の頭公園に遊びにきていた人たちの注目を集めました。(東)

 

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加藤翼《いせや CALLING》
2012年11月3日[土]引き興し15:00〜・4日[日] 引き倒し15:00〜
アーティスト加藤翼が国内外で展開している巨大建造物をみんなでロープで引っぱる「引き興し」。今回は吉祥寺を舞台とするにあたり、地元の人に惜しまれながらも改築のため2012年7月に解体された吉祥寺の焼き鳥屋“いせや公園店”の廃材を譲り受け、実物大の店を1週間かけて井の頭公園に再現しました。そして迎えた本番当日、寝かせた状態の店を加藤のかけ声に合わせ約300人が力を合わせて見事に引き興しに成功。次の日に引き倒しました。
制作期間中に作家に話しかけた公園利用者、当日に偶然通りがかった人を含め多くの参加者が一丸となってロープを引くことで、普段まったく関わりのない人たちとの新しい繋がりが生まれました。(伊藤)

 

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テニスコーツ、ほうほう堂《クロージングスペシャルパフォーマンス》
2012年11月4日[日]16:00〜
いせや引き倒しが終わった西園グランドに夕日が差し始める頃、倒れたいせやの瓦礫を取り囲むようにテニスコーツの音楽とほうほう堂のダンスパフォーマンスが始まりました。広いグランドに聴こえる歌声、ギター、解体作業の音。集まった沢山の人々は祭りの終わりを惜しむように聴きいっていました。そのうちパフォーマンスは観衆を引き連れて公園の林の中へ。通りがかりのお爺さんやお客さんを巻き込むほうほう堂のダンスとテニスコーツの心に響くメロディが暗くなった公園に一体感が生まれ、観衆の暖かい拍手がTERATOTERA 祭りを締めくくりました。(遠山)

開催概要

《家主リレー》
日時:2012年10月27日(土)・28日(日)12:00〜18:00
会場:アトレ吉祥寺[花火の広場]
アーティスト:村上慧

《NEO公共『ART』》 野外展示・パフォーマンス
日時:2012年11月3日(土)・4日(日)12:00〜18:00
会場:井の頭恩賜公園[御殿山から西園へ続く森、及び西園]
アーティスト:太田遼、志村信裕、橋本聡、原田賢幸、山本篤、和田昌宏、assistant

《チルドレン・プライド》 ワークショップ
日時:2012年11月4日(日)13:00〜14:30
会場:井の頭恩賜公園[弁天池周辺]
アーティスト:山本高之

《いせや CALLING》 参加型アートプロジェクト
日時:2012年11月3日(土)引き興し15:00〜・4日(日) 引き倒し15:00〜
会場:井の頭恩賜公園[西園]
アーティスト:加藤翼

《クロージングスペシャルパフォーマンス》
日時:2012年11月4日(日)16:00〜
会場:井の頭恩賜公園[御殿山から西園へ続く森、及び西園]
アーティスト:テニスコーツ、ほうほう堂

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