teratotera

「人と人、街と街とをアートでつなぐ」 中央線沿線地域で展開するアートプロジェクト

TERATOTERA WEST 途中下車の旅12@武蔵小金井
納涼の音

音楽ライブ

「TERATOTERA」は、東京文化発信プロジェクトの一つとして、中央線の沿線地域でアートや音楽、ダンスなど様々なアートプログラムを展開しています。今年2回目のイベントは電子音楽のライブ「納涼の音」。8月5日に武蔵小金井の「江戸東京たてもの園」で開催しました。
「江戸東京たてもの園」は歴史的な建造物を保存する野外博物館です。今回のライブは、江戸時代の古民家を会場に、2組の電子音楽家を迎えて、日本の懐かしい風景と電子音楽が響き合う不思議な空間を作り出しました。

古民家と、電子音楽。
電子音楽というと、先端的な電子機器を駆使し演奏される、無機質な音楽というイメージがあるのではないでしょうか。そんな現代的な音楽と、暮らしの記憶をとどめる古民家の空間の出合い。それを体感することで、音楽への新たな視点が生まれるのではないか。そんな期待を込めて今回のイベントは企画されました。

当日、江戸東京たてもの園では毎年恒例の夏祭り「たてもの園下町夕涼み」が開催されていました。祭りのテーマは「昭和30年代」。盆踊り、屋台、歌謡曲など昭和30年代の夏祭りの情景が再現されていました。
当日は雲一つない晴天、最高気温33℃。うだる様な暑さで、かき氷の出店の前は浴衣姿の女の子や子供で常に賑わっていました。
ライブの客席は吉野家の園側に面した庭。地面に数十枚のゴザが敷かれ、ますます昭和の雰囲気が漂います。日が陰り始め、ヒグラシが鳴き始めた頃、観客が三々五々会場に集まり、ゴザの上に座ります。
ライブ開始の時間にはゴザは観客でぎっしり。庭を囲む木立の間も立ち見の観客であふれていました。

午後6時。夕映えが残るなか、甚平姿の宮内さんが登場し、ライブが始まりました。
宮内さんはエレクトロニカと呼ばれる音楽の演奏家。生楽器と電子楽器を一人で操り、様々な楽器の音をその場でサンプリングし、重ね合わせていきます。その演奏は、いわば“音の実験室”です。今回は当日のテーマである昭和30年代をイメージして、やかんと茶筒の音もサンプリングされました。
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鍵盤の前に座った宮内さんがフレーズを重ねていきます。重なっていく音、ループするフレーズ。ふわふわと心地よい音楽が流れ出ます。そのうち、会場のどこからか小さな男の子が出てきました。客席の最前列で音楽にあわせて踊り始めると、会場には微笑が広がりました。小さなダンサーの登場で、宮内さんは予定していた曲から急遽踊りやすい曲へと変更。夏の夕暮れに優しく重なっていく音と、宮内さんの暖かな歌声。小さなダンサー。セミの声と通り抜ける夜風。古民家にゆっくりと流れる時間と相まって、会場は終始ピースフルな雰囲気があふれていました。

すっかり日が落ち、暗くなったころに繊細な電子音楽を奏でるausと自作ソフトウェアからソリッドな映像を作り出すtakcomのユニットaus+takcomの演奏がスタート。この日はたまたまジャパンツアーでテキサスから来日していた、様々な楽器を操りオーガニックなサウンドを紡ぎだす二人組Twings&Yarnが特別参加しました。
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古民家の襖にはtakcomのVJによる映像が投影され、ausの奏でる鍵盤の音と同期して色鮮やかな映像が躍動。鍵盤の音と、どこか懐かしいようなザラザラとしたノイズにTwings&Yarnのウィスパーボイスが重なり、アンビエントな空間が広がっていきます。後半、線香花火が燃え尽きるような音と鍵盤とストリングスが響きわたり、会場は、無限に広がる宇宙空間に吸い込まれていくような感覚に包まれました。(外山智恵)

開催概要

日時:2012年8月5日(日)18:00〜20:00
会場:江戸東京たてもの園 吉野家
出演アーティスト:宮内優里、aus+takcom[with Twings&Yarn]

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