teratotera

「人と人、街と街とをアートでつなぐ」 中央線沿線地域で展開するアートプロジェクト

TERATOTERA WEST 途中下車の旅14@武蔵境
バスのなかのひみつ
〜子どもだけに訪れる不思議な出会い〜

展示

2012年最後となったイベントは、「バスのなかのひみつ ~子どもだけに訪れる不思議な出会い~」。
アーティストの松本力さん、遠藤一郎さんを迎え、12月13日から11日間、武蔵境にある「武蔵野プレイス」にて開催しました。子どもたちだけが入ることのできる『未来へ号』内でのワークショップや展示、その他ライブパフォーマンスやギャラリートークなどを行い、会期中はこの場所を偶然訪れた人たちにも見ていただくことができました。

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今回のイベントは、会場である武蔵野プレイスと、TERATOTERAの共同開催で行われました。武蔵野プレイスは2011年設立の、図書館機能を中心に様々な機能を持った複合施設です。本を借りるだけでなく、館内のカフェでパンケーキを食べたり、スタジオでダンスの練習をしたり、講座で新しい事を学んだりと、毎日様々な目的で多くの市民が訪れる場となっています。そこで今回紹介するのは、二人のアーティスト。「未来へ」というストレートなメッセージを掲げ、日本全国を「未来へ号」と称した車で駆け巡る遠藤一郎と、手書きによるアニメーション制作や、子どもたちとのワークショップを展開する松本力です。二人で合同展を開催するのは本企画が初の試みとなります。

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会期前半の12月13日〜20日、武蔵野プレイス前の広場には遠藤一郎の「未来へ号」バスが停車していました。街行く人も立ち止まってしまう程、真っ白な図書館をバックに黄色い車体が目立ちます。中には子ども(20 歳未満)だけが入ることができました。入り口ではパスポートが手渡され、そこでアーティストの松本力が問いかけます。「君は、どんな人ですか? バスの中で見て感じた事を絵にして下さい」。恐る恐るバスに入っていく子や、待ちきれず駆け込んで来る子、友達を誘って遊びに来る子。350 人以上の子どもたちがバスにやってきて、この問に答える形で、「未来へ号」の中で自由に絵を描いてくれました。バスの中で満足いくまで色々なペンで塗り足したり、くつろいだりする子どもに、一緒に来たおかあさんが入り口から「もう帰ろうよ~」と声をかける光景が夕方になるとしばしば見られました。
会期後半の12月18日〜24日まで、ギャラリーでは、「未来へ号」の中で子どもたちが描いた絵をもとにして、松本がアニメーションにし続けていきました。カラフルなてるてる坊主、たくさんの車、跳び箱をジャンプしているところ……。伸びやかな線を松本のカメラが縦横無尽に追っていきます。絵が生き生きと動き出すところを見て、子どもたちは大はしゃぎ。私たち大人にとっても、子どもたちのまなざしは、私たちが子どもの頃好きだった事やその光景が、時代を超えて普遍的なものであることを教えてくれます。また、アニメーションの他に、松本やテラッコ(TERATOTERAのボランティアスタッフ)たちが子どもの頃好きだったことについてもう一度向き合ってみた映像作品もあわせて展示しました。
会期中1日だけバスの中に大人も入れるスペシャルデーとして、「未来へ号」バスの中でアーティストVOQによるライブ演奏と松本力のVJによるライブパフォーマンスを開催しました。真冬のしんしんと冷えた夜、黄色いバスの中に大人たちが続々と乗りこんでいきます。助手席のVOQがギターを奏でライブが始りました。軽やかな歌声に合わせて、参加者が描いた「自分が好きなもの」が松本の手により繋がって一つのアニメーションになり、「未来へ号」のフロントガラスに次々と映し出されます。まるでバスで未来への時間旅行をしているかのような楽しいひと時でした。
一方の遠藤一郎は、ギャラリーで「未来へ号」で日本縦断するプロジェクト「RAINBOW JAPAN」の活動を紹介。バスの軌跡ラインを地図上に記録することで大きなメッセージを描きました。それは日本列島に住み、生きている私たちが皆で明日に向かって踏みだすための一歩の掛け声「いっせ~の~せ!」。加えて会期中、ギャラリー以外にも遠藤の賑やかな作品が展示されました。館内の1階から3階までを貫く吹抜けいっぱいに展示した垂れ幕と入り口両脇の横断幕。大きな文字で書かれた「わっはっはっはっ」と「えーんえーん」が静かな館内で感情をいっぱいに表現していました。
そしてついに迎えた最終日。クリスマスイブの朝、武蔵野プレイスに再び「未来へ号」バスがやってきました。中から現れたのは、サンタ服に身を包んだ遠藤とアーティスト鈴木彩花。しかし、頭にはなぜかハゲズラを被っています。ハゲズラを被って世界中の人と交流するパフォーマンス「HAGEZURA SAVE THE EARTH」の始まりです。

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冬の青空の下、子どもと白い息を弾ませながら追いかけっこをしたり、皆でハゲズラを被って記念撮影をしたり。色々な人の頭を通ったハゲズラを被ると、格好つけてもしょうがない!被った人も周りの人も、ハゲズラだけに眩しい笑顔になってしまいます。

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午後からギャラリーで開かれた遠藤×松本のアーティストトークでは、松本もサンタ服で登場しクリスマスムード満点。二人のサンタが今回の合同展や、今アートが出来ることについて語り合いました。年末の武蔵野プレイスに現れた二人のアーティストが発する未来への明るいメッセージが来館者を笑顔にし、イベントは賑やかに閉幕となったのでした。(宮久実那)

開催概要

日時:2012年12月13日(木)〜12月24日(月・祝)
会場:武蔵野プレイス
アーティスト:遠藤一郎、松本力
 
・「未来へ号」バス内の展示 12月13日(木)〜12月20日(木)
・ライブパフォーマンス「バスの中の大人も! ひみつ」 12月19日(水)
・ギャラリー展示 12月18日(火)〜12月24日(月・祝) 
・ギャラリートーク 12月24日(月・祝)

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