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「人と人、街と街とをアートでつなぐ」 中央線沿線地域で展開するアートプロジェクト

TERATOTERA 祭り2015 -Sprout- ART

9名のアーティストによる、インスタレーションや絵画、映像作品などの展示
 三鷹駅周辺の空き店舗、ライブハウス、喫茶店など5カ所に、気鋭のアーティスト9名の作品が出現!ピンク色の室内を走り回る巨大なパンダカー、ピエロが案内する写真展、窓から煙が溢れ出し、焼き肉を焼く映像が室内で流れている古い家屋……。静かに眠っていた空き店舗、そして営業中の店舗も、怪しげなインスタレーションに彩られ、いつもとは違う表情で熱を帯びた3日間となりました。(髙村瑞世)

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瀬川祐美子《 希望しかないかもしれない 》
 三鷹駅北口の交番横に設置された巨大パネル。瀬川祐美子さんは、そこに大小異なるキャンバスを6枚取り付け、3日間ずっとライブペインティングを続けました。水性絵の具で描かれた図像は、抽象的で、鮮やかな色が塗り重ねられています。瀬川さんはこの夏の2ヵ月間、スウェーデンで滞在制作をしました。その中で「ああ、この世界には希望しかないのかもしれない」と感じたことで、周りの見え方が変わったそうです。その自身の変化を表現することで、鑑賞者にも希望を見出だすきっかけになれば、という思いが込められています。瀬川さんの描いた、自由な線や色彩から、鑑賞者にはどんな「希望」が見えたでしょうか?(小玉明子)

 

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江藤佑一《水泥棒》
 江藤佑一さんは、三鷹第一アパートの古びた会議室をポップな空間に変貌させました。カラフルな動物のマスコットを数体配置し、その体を貫通させながらホースを張り巡らせたのです。そこに、池やトイレの水、ファミレスの飲み水、雨水など、様々な場所で作家が水を採取する行為を記録した映像が投影されます。採取された水はホースの中で混じりあって加湿器に取り込まれ、水蒸気となって空間に放出され、最後には鑑賞者の体内に入っていきます。そう、そこに居合わせた人も動物たちも目には見えない空気を介して間接キスをしていたのです。江藤さんが作り出した仕組みは、身体を通して他者や場所との関係性を柔らかく表すのでした。(後藤響子)

 

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和田昌宏《 晩秋 》
 床や壁にこびりついた油の跡が元飲食店の記憶を想起させる、三鷹第一アパート。和田昌宏さんは、この室内に壁を設置して2つの空間を作りました。片方の部屋では七輪で肉を焼き続ける様子の細部だけを数台のビデオカメラで断片的に撮影し、もう一方の部屋ではその映像をリアルタイムで映しました。壁に作り付けられた換気扇からは肉を焼く匂いと煙が入ってきます。観客は、壁のすぐ向こうで行われている行為を、全体の状況はわからないまま、気配として感じ、想像を巡らせながら「見る」ことになりました。(遠山尚江)

 

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小鷹拓郎《日本一ヘタな歌手・上床敬子の100次元パラレルワールド》
 会場は“特許・日本一!!ヘタな歌手”を名乗る「お敬ちゃん」が経営するレストラン喫茶 上床。お敬ちゃんこと上床敬子さんにただならぬエネルギーを感じた小鷹拓郎さんは、「お敬ちゃん100人計画」を企てます。会期前のある夜、30名ほどの老若男女が会場に集い、青い帽子・赤い上着・白いパンツというお敬ちゃんの定番スタイルに変身し、集合写真が撮影されました。会期中は、その写真と撮影時のドキュメンタリー映像を店内に展示。そして、展示を見に訪れた人々にもお敬ちゃんの格好になるよう薦め、ポラロイド写真を撮影しプレゼントします。気づけば誰もがその独特な世界に没入してしまう異空間で、次々とお敬ちゃんが増殖。小鷹さんによる計画は遂行されたといえるでしょう。(吉田絵美)

 

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うらあやか《 my body myth 》
 会場は三鷹駅南口にあるライブハウス「おんがくのじかん」。天井に薄布が張られ、エスニック調のBGM が流れる店内は、独特の雰囲気を漂わせていました。この空間で、うらあやかさんは自身の体のホクロを線でつないだドローイングを展示。またその場で実際に観客の体にペイントを施しました。それを星座に見立てて、観客と対話しながら名前をつけていきました。観客は、その過程でこれまでの経験や周囲の環境に改めて意識を向けるとともに、各々の身体に眠る「神話(myth)」の存在に思いを馳せる機会となりました。(志賀祥子)

 

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山本篤《 It’s a small world 》
 三鷹駅南口から徒歩5分の貸しスペース。隣は電気屋、正面は洋服屋、地下は食品スーパー。そんな平凡な商店街の日常の中で、ピエロに扮した山本篤さんが来客を迎えます。ピエロは、特に愛想が良いわけでもなく、無愛想でもない。来客は、ピエロが引っ張る台車に座り、渡された風船を手に小さな展示スペースをゆっくりと一周します。展示内容は、「三鷹」と「世界の風景」の写真と暗闇で波打つ水面の映像。会場には「It’s a small world」の音楽が鳴り響いています。老若男女の来客は、戸惑いながら、小さな三鷹の街から世界のあり方を様々な視点で捉えることになりました。(山本晃由美)

 

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阪中隆文《 Giant panda car 》
 阪中隆文さんの作品は巨大なパンダカー。鮮やかなピンクの壁面に囲まれた空間に置かれると、それだけで祝祭の雰囲気が漂います。しかも、コインを入れると電子音を鳴らしながら軽快に動き、実際に会期中は多くの観客を乗せて会場を回遊し続けました。その動力は実は作家自身。時間とともに消耗しますが、コインはパンダの体をすり抜けコンクリートの床に虚しく散らばっていきます。ハレとかわいさの象徴であるパンダカーは、過酷な労働とその対価との関係を端的に示すものでした。最終日には、周遊ルートを外れ、隣で展示していた野口竜平さんらのパフォーマンスに頭から突っ込んでいきました。「革命」の象徴だったのでしょうか。(千葉佐奈子)

 

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玉山拓郎《 We are different to cross the river, and we cross different rivers.》
 壁がピンク色に塗られたままの店舗跡の入口を一歩入ると、優しい電球の光が鑑賞者を迎えます。広い空間はそれぞれカラフルなボードで仕切られ、絶妙に計算された色彩と直線的なラインの組み合わせに目を奪われます。ふと見ると、フリスビーのランプにかつら、バターナイフがあちこちに散らばっています。その光景は海の彼方から漂着した記憶を呼び起こすかのようで、柔らかい空気を纏いながら、人々を立ち止まらせます。いつのまにか色と光と音が調和した空間で、言葉のない詩がひびいているかのような錯覚を覚えました。(柳本紀子)

 

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野口竜平《 壁!ホワイト 》
 薄暗い部屋の中で、作家の指示書通りに赤い紙飛行機を飛ばすと、突如白い壁への「攻撃」が始まりました。つんざく破壊音。白い破片が飛び散り床を白く染めていく。ひりりとした緊張感。破壊という美しさを見せるために壁を壊しては作り、また壊すという行為を繰り返します。作家は時折、壁の向こう側から這い出てきて、おばあちゃんと旅人と紙飛行機について語り、踊りました。最終日に野口さんが参加する「パンク侍(パンケキ侍)」が、壁の両側で異なるパフォーマンスを展開。やがて壁を壊して観客を展示空間の奥深くへと誘いました。同時多発的なパフォーマンスに、観客は目を奪われていました。(町田紗記)

開催概要

2015 年11 月21 日(土)~ 23 日(月・祝)11:00 ~ 19:00
会場:三鷹駅北口交番横、三鷹第一アパート、レストラン喫茶 上床、おんがくのじかん、三鷹中央ビル1階 みたかスペースあい、三鷹中央ビル2階 自転車店跡
参加アーティスト:うらあやか、江藤佑一、小鷹拓郎、阪中隆文、瀬川祐美子、玉山拓郎、野口竜平、山本篤、和田昌宏

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