teratotera

「人と人、街と街とをアートでつなぐ」 中央線沿線地域で展開するアートプロジェクト

TERATOTERA祭り2018 Walls −わたしたちを隔てるもの−

シンポジウム/トーク

「TERATOTERA祭り2018」のテーマは「Walls -私たちを隔てるもの-」。2018年夏、それまでTERATOTERAのボランティアスタッフとして積極的にコミットしてきたメンバーによって「Teraccollective」が結成された。そのメンバーたちが話し合うなかで、今回のテーマが浮かび上がった。
私たちの周りにはどのような「壁」があるだろう。見えるもの、隠れているもの、触れられるもの、近づけないもの……。極私的なものから日々ニュースで話題にのぼるものまで、いたるところに「壁」はある。私たちはそれらと、これからどのように向き合っていくのだろうか。受け入れて共存するのか、乗り越える策を練るのか、それとも破壊するために動くのか。
10組のアーティストが、彼らが対峙するWalls=壁を可視化し、それぞれの向き合い方をみせてくれた。

〈コンセプト〉 Walls わたしたちを隔てるもの

「平成最後の〜」というフレーズを耳にすることが多くなった。今回の「TERATOTERA祭り」も「平成最後」。だから、少しだけ平成という時代を振り返ってみたい。
メディアの「平成」評価はおおむね辛口だ。バブル景気がはじけた後の「失われた20年」、阪神・淡路大震災に続く東日本大震災という未曾有の災厄、そして収束の目処さえつかない東京電力福島第一原子力発電所事故と振り返れば、低迷した時代の様相は露わだ。
海外でも、「9.11」に端を発したテロと報復戦争が連鎖し、多くの人々が難民となった。世界の諸国は協調から自国優先へと転じ、対立と亀裂が深まっている。トランプ米国大統領が訴える国境の「壁」は、そうした現実のグロテスクな戯画といえそうだ。
今回、「TERATOTERA祭り」のコンセプトをめぐって、わたしたちひとりひとりが直面する課題を語り合った。貧困や障害による格差と差別、ジェンダーや性的自認の多様性への忌避ないしは拒否、国籍や思想に対する憎悪を隠さない言動……。ひとびとを分断する動きに通底するキーワードとして浮かび上がったのが「壁」だった。すでに社会的な課題として顕在化した「障壁」もあれば、視覚化されていない「見えない壁」もある。意識化されないまま心地よくもたれかかっていられる「柔らかな壁」が、わたしたちの内側にもあるのではないか。そうした論議をへて、「Walls−わたしたちを隔てるもの−」が今回のコンセプトとなった。
ここで想起したいのが、1989年(まさに平成元年)、ベルリンを分断していた「壁」が、それを越えようとする市民の熱量によって撤去されるにいたった、という事実。それが契機となって「冷戦」が終結し、「壁のない世界」への期待が高まった。付け加えれば、その2年前、「壁」の西側でライブを敢行したアーティストがいた。イギリスのミュージシャン、デイヴィッド・ボウイだ。壁越しに響くボウイの音楽が、東側の市民をささやかにであれ揺さぶったことは想像に難くない。
アートは課題を指し示す役割を果たすことができる。今回の「TERATOTERA祭り」でわたしたちは、アーティストが「壁」に向き合うことを期待し、それに協力したいと思う。厳然として存在する「壁」だけでなく、見えない「壁」、さりげなくわたしたちの心に忍び込む「壁」。どのような「壁」が立ち現れるのか、不安を抱きつつ期待したい。

Teraccollective

▼2018年11月16日〜18日に開催した街中でのアート展示の詳細はこちら▼
2018_matsuri_art1

▼2018年11月16日〜18日に開催したパフォーマンスの詳細はこちら▼
2018_matsuri_per1

▼2018年11月17日に開催したトークの詳細はこちら▼
2018_matsuri_Talk

開催概要

日程:平成30年11月16日(金)、17日(土)、18日(日) 11:00~18:00
※スペースエルベは18:30 まで ※Talk Showは20:30まで
会場: JR三鷹駅周辺
参加アーティスト:Tuan Mami、遠藤麻衣、キュンチョメ、小林清乃、地主麻衣子、砂連尾理、高田冬彦、林千歩、maadm、本間メイ

TERACCO募集

TERATOTERAの活動をサポートするボランティアスタッフ「TERACCO(テラッコ)」を随時募集しています。
アーティストの制作補助やインベントの当日運営に関わってみませんか?
年齢性別は、不問。お気軽にご参加ください。

ご応募はこちら