teratotera

「人と人、街と街とをアートでつなぐ」 中央線沿線地域で展開するアートプロジェクト

TERATOTERA祭り2020
Collective 〜共生の次代〜

中央線沿線で様々なアートイベントを展開しているTERATOTERA(テラトテラ)は、10月15日〜18日の4日間、東南アジアと日本のアートコレクティブ6組がアート作品、パフォーマンス、演劇などの作品をライブ配信でお届けする「TERATOTERA祭り2020 Collective 〜共生の次代〜」を開催します。

TERATOTERAは、街中でのアート展をはじめ、音楽ライブやパフォーマンスなどを盛り込んだ大規模展覧会「TERATOTERA祭り」を2011年度から毎年度開催してきました。今回は新型コロナウイルス感染症が拡大している状況を受け、ご自宅でもアート作品を体感していただけるよう、全てのプログラムをオンラインで開催することといたしました。記念すべき10回目の開催となる今回は、「Collective 〜共生の次代〜」をテーマに掲げ、東南アジアはインドネシア、タイ、カンボジアより、日本は札幌、京都、東京より、各コレクティブが作品を発表します。
また、TERATOTERA祭りの開催に向け、各コレクティブと作品制作の経過についてディスカッションを重ね、その様子を配信します。世界規模で流行する新型コロナウイルス感染症の影響下において、東南アジア、そして日本各地のコレクティブが置かれている状況と、現状と向き合い生まれるコレクティブの作品を、ぜひお見逃しなく!

 ※本イベントは2020年5月に開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染症が拡大している状況を受け、参加者および関係者の健康・安全面を第一に考慮した結果、2020年10月に日程を延期し、オンラインで開催することにいたしました。  

「TERATOTERA祭り2020 Collective ~共生の次代~」特設サイトでは
引き続き10月31日まで一部の作品をご覧頂けます。

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 コンセプト 

Collective 〜共生の次代〜

2011年にスタートしたTERATOTERA祭りが10回目を迎える。1回目にメインテーマとして掲げたのは“post”というものだった。それは「〜以降の」「〜の次の」を意味する接頭語であり、無論のこと、同年3月におきた東日本大震災、そして福島第一原子力発電所事故を念頭に置いて、「あのとき以降」どのような表現がこの世界で可能なのかを問いかける企画であった。あれから随分と月日は流れたけれど、私たちは“post”の時代に今なお生き続けている気がする。
ポピュリズムが世界を席巻し、グローバリゼーションは貧富の格差を生み続け、移民や難民問題は解決の糸口さえ見えない。絶対にないとされた男が大統領となり大国は世界の警察を退こうとしている。もう一つの大国は巨大な経済力を背景に中央の権力を拡大し続けている。自国に目を移せば、福島の放射能の問題、沖縄の基地問題、隣国との歴史認識をめぐる問題、そして切実な貧困問題など、どれもがアンダーコントロールとは程遠い。
分断、格差、孤立、これらは“post”の時代を表すのにうってつけの言葉であろう。富や権力はある一部に集中し、社会には分断が生まれ、人々は孤立し続けていく。なんとも未来の見えない、お先真っ暗な世界であるけれど、それが事実なのだから仕方がない。抗いがたい現実に対する無力感、そして思考停止。
ただ本当にそれでいいのだろうか。あのとき掲げた問いは、「諦め」という答えで終わってしまうのか。いや決してそんなことはないはずだ。では、分断、格差、孤立、それらに対抗するものはいったい何があるというのか?
その答えを導くため、今回のTERATOTERA祭りでは「Collective 〜共生の次代〜」というコンセプトを掲げる。コレクティブとは、複数のアーティストが共同で恒常的に表現活動を行う際に使われる言葉であり、参加をお願いしたのは国内外で精力的に活動を続けるアート・コレクティブである。彼・彼女たちは、コト・モノ・時間をシェアし、自分たちが信じる表現の元に集い、そして共生=共に生きている。私は、そうしたアーティストたちの日々の営みの中に、今我々が直面している様々な困難を乗り越えていくヒントが多く隠されているように思えてならない。
少し考えればわかることだが、表現活動において共同で何かをすることは、個人で制作をするよりもずっと面倒なことである。それぞれの考え方や意思をぶつけ合いながら相手を理解し、自身を変えていく必要があるからだ。ただそうした面倒なプロセスにこそ私は未来を感じるのだ。他者を受け入れ、自身を変え、共に何かを生み出していくこと。どうしようもないほどにバラバラになってしまったならば、再び個と個が集うことからはじめればいいのだ。たとえそれが愚直であろうとも。
分断には対話を、格差にはシェアを、孤立には繋がりを。TERATOTERA祭り2020に集う多種多様なコレクティブの活動は、私たちが生きるこの荒涼とした世界の次の時代への道筋をきっと指し示してくれるはずだ。“post”のその先へ。次の一歩は踏み出せる。すぐそばにいる自分ではない誰かと共になら。

TERATOTERAディレクター
小川希

 

 プレ企画 オンラインディスカッション 

「TERATOTERA祭り2020 Collective 〜共生の次代〜」に参加する各地のアートコレクティブと小川希(TERATOTERAディレクター)、TERATOTERA事務局スタッフが、作品制作の経過についてディスカッションし、TERATOTERAのYouTubeチャンネルにてその様子を配信します。
※オンラインディスカッションの様子を収録した映像を配信します。

配信予定日
8月28日(金) Chiang Mai Art Conversation(タイ)
9月4日(金)Sa Sa Art Projects(カンボジア)
9月11日(金)Ongoing Collective(日本)
9月18日(金)Ruang MES56(インドネシア)
9月25日(金)hyslom(日本)
10月2日(金)Sapporo Dance Collective(日本)

TERATOTERA YouTubeチャンネル▶︎https://www.youtube.com/channel/UC47GXS991it9asAb11JeyZw

 

 参加アーティストプロフィール 

Chiang Mai Art Conversation(CAC):タイ

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CACはタイのチェンマイで2013年1月に設立されたアーティスト主導の非営利プロジェクト。アート情報の収集と提供、文化的活動を通じた交流と協働の強化を主な目的としている。アート情報を作成し、共有するためのプラットフォームとしてウェブサイトを運営し、最新のアートマップ、アートスペースのリスト、イベント、アーティストプロフィールや記事を掲載している。このプラットフォームのデータバンクを通して、チェンマイのアートシーンの歴史を反映するとともに未来を予測することを目指している。
彼らはまた、アートコミュニティと観衆を育てるために、さまざまな活動形式で人との繋がりや交流を築いていくことにも力を入れている。2016〜2019年の3年間、CACは国際交流基金アジアセンターと共催でアジアン・カルチャー・ステーション(ACS)を運営。このプロジェクトでCACの活動は東南アジアや日本の芸術文化の専門家たちとの交流、協働へと拡がった。ACSはCACの初オフィスでチェンマイのニマンヘミン通りにあったが、現在、このオフィスは終了し、同エリアの新たな場所への移転を待っている。

 

hyslom/ヒスロム:日本

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加藤至、星野文紀、吉田祐からなるアーティストグループ。2009年より活動をはじめる。造成地の探険で得た人やモノとの遭遇体験や違和感を表現の根幹に置き、身体を用いて土地を体験的に知るための遊び「フィールドプレイ*」を各地で実践し映像や写真、パフォーマンス作品としてあらわす。またその記憶を彫刻作品や舞台、映画へと展開させている。2015年から任秀夫氏と共に「任・ヒスロム鳩舎」として日本鳩レース協会に入会。レース鳩に関するワークショップや展示などもおこなっている。近年の展覧会に「六本木クロッシング2019展:つないでみる」(森美術館、2019)、「hyslom itte kaette.Back and Forth」(Ujazdowski Castle Centre for Contemporary Art、2019)、「ヒスロム仮設するヒト」(せんだいメディアテーク、2018)。パフォーマンス作品として、「KAC Performing Arts Program2018/Contemporary Dance『シティⅡ』」(京都芸術センター、2019)「梅田哲也/hyslom 船」(大阪の水路や河川・港湾、2017,2018)。平成30年度京都市芸術文化特別奨励者認定。*劇団 維新派 故松本雄吉がそう呼んだことによる。

 

Ongoing Collective:日本

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2016年、東京で結成。アーティスト、ミュージシャン、キュレーター、コーディネーターからなる全50名。東京の吉祥寺にあるArt Center Ongoing ディレクター 小川希の呼びかけによって集まる。国内外の展覧会、アートプロジェクト、シンポジウム、レジデンスやイベント等に積極的に参加。Ongoing Collectiveが目指すのは、オーガニックな集団。それは、なんらかのシステムや規律のもとに形成されるのではなく、より人間的な関係性によって成り立っていくもの。メンバーの間にヒエラルキーは存在せず、集団としての決定は、話し合いやその場のノリによって行われていく。個人主義の限界を超えて、その先にあるであろう明るい未来を目指す。

 

Ruang MES56:インドネシア

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Ruang MES56は、スタジオ、学びの場、遊び場、住居として使用されている家屋を、さまざまなコミュニティやネットワークと協働して運営するインドネシアのアートコレクティブ。2002年に自己資金で設立され、批評的かつ文脈的な作品でさまざまな分野を横断しながら写真と現代アートの発展に注力している。

 

 

 

Sa Sa Art Projects:カンボジア

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Sa Sa Art Projectsは、実験的かつ批評的な現代アートの実践に取り組むカンボジアのアーティストランスペース。2010年にカンボジアのアートコレクティブStiev Selapak によって設立され、「ホワイトビルディング」として知られた歴史的建造物の集合住宅にて、2017年にこの建物が再開発のために取り壊されるまで運営された。新拠点では、カンボジアの若手作家や美大卒業生たちともより強く関わりをもつようになり、創造的な教育プログラム、展示、「Pisaot」という実験的なレジデンスプログラムやその他の協働プロジェクトを通じて、アジア中のアーティストたちとのより深い対話を構築し続けている。

 

Sapporo Dance Collective(SDC):日本

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2017年、北海道札幌市の西方に位置する、劇場も兼ねた生活支援型文化施設「コンカリーニョ」プロデューサーである斎藤ちず氏が、「札幌に、コンテンポラリーダンスカンパニーを根付かせたい」という長年の想いと、既存のダンスカンパニーのようなトップからダウンへの一方向なベクトルを卒業し、上下よりも横のつながりを基盤とするネットワーク型の集団がコレクティブであるとの考えから名付ける。SDCは、創作現場として、意欲のあるダンサーが集い、実験の場を共有、リサーチ、フィールドワーク、ディスカッション・研究を経て、作品を練り上げ、充分な時間をかけてダンスの作家が育ち、いずれ独立していくようなインキュベーションの機能をもつ場を目指しているが、「それだけではダンス作品をつくるに充分な環境ではないのではないか」と、初代ディレクターとして招かれた羊屋白玉は疑問をもち、そのダンス作品をどのように届けるのか、そして当のダンサーたちはどのように暮らしてゆくのかなど、アーティストの仕事も労働と認められるようになるには何が必要か研究し、未来を生き延びるための労働組合を立ち上げ、連帯し、波及させ、見守ってゆく人と場を現在、組み立てている。

開催概要

会期:2020年10月15日(木)、16日(金)、17日(土)、18日(日)
配信方法と配信時間については、後日ウェブページでアナウンスいたします。
参加アーティスト:Chiang Mai Art Conversation(タイ)、hyslom(日本)、Ongoing Collective(日本)、Ruang MES56(インドネシア)、Sa Sa Art Projects(カンボジア)、Sapporo Dance Collective(日本)
参加費:無料
主催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、一般社団法人Ongoing

※プログラムは変更になる場合があります。
※当日の各プログラムの変更、中止等最新情報はTERATOTERA公式Twitter/Facebookにてご案内いたします。
※本事業は「東京アートポイント計画」として実施しています。

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