teratotera

「人と人、街と街とをアートでつなぐ」 中央線沿線地域で展開するアートプロジェクト

TERATOTERA祭り2018 Walls −わたしたちを隔てるもの−
TALK

シンポジウム/トーク

「TERATOTERA祭り2018」のテーマは「Walls―わたしたちを隔てるもの―」。祭りの2日目に、参加アーティストのうち9人によるトークイベントが開催された。テーマと作品の関係のみならず、作家自身の口から語られる作品の誕生秘話にいつしか聴衆は引き込まれていった。 (構成:三浦留美)

/////以下、トーク内容の抜粋////////////////////

地主麻衣子 『欲望の音』
・外的な環境が原因で欲望が減る状況はどういうことなのか漠然と考えるようになった。欲望についてやると決めた時、欲望の音はドラムかなって直感で思った。
・作品を考えるうえで、普段生きているなかで感じる社会的な葛藤とか問題が契機になることが多い。
・問題が起きている「壁」のある現場には行けなくて、うじうじ考えているだけなんだけれども、やっぱり、それについては考えているし何かしら言いたい。そのせめぎあいのところで作品を作っている。

本間メイ『 Buku harianku tetapi bukan ingatanku-My diary but not my memories-』
・インドネシアでは日本に占領されていたことによる嫌悪感はそれほど強くないし、周囲の人が優しくしてくれる。そのせいか、言葉の壁、生活習慣の壁はあまり感じない。ただ超えてはいけない壁というか、日本はかつてインドネシアを占領した国であり、自分は日本人であるということは忘れないよ
うにインタビューをした。

maadm 『Can you stop?』
・ハッピーじゃないと分かっていても権力と支配の構造って見ると安心する。ゆがんではいるんだけど、抑圧された状態に執着する自分がいる。そ
れは自分が子供の頃から見ていた家族の影響が大きいかな。外に出て客観的に権力と支配の構造を作れるようになった。
・人は思っていないことでも言えてしまう。だから、この数年、コミュニケーションのねじれが生じないように、言葉が出る前にその人が何を考えているか分かるようにすることにトライしている。でもそれが分かったところでコミュニケーションは上手くはいかないんだけど。

Tuan Mami 『In A Breath-Nothing Stands Still,Chapter4』
・作品に出てくる採鉱場は両親の故郷。小さい頃から知っている場所ゆえに、環境が酷くなっていることに怒りすら覚えてリサーチを開始した。マフィアのような人たちが仕切っている場所だけに、映像を撮るのをどうするかが問題。結局子供に案内してもらうようにしながら撮影した。炭鉱業が入ってきたことで変わってきた土地に住む人々の宗教観や思想も見せたかった。

ホンマエリ(キュンチョメ) 『完璧なドーナツをつくる』
・社会問題の「壁」可視化問題が自分の中にある。可視化しただけで終わってないか?ということが多い。その状況にいらついている。可視化しただけでは、アートは何もできていないし、アートは世の中を動かせていない。
・沖縄の基地問題をとりあげた今回の作品をゆったりと見てほしくなかった。だから観客にも、完璧なドーナツをつくることに「賛成」か「反対」で問い、投票してもらうことにした。
・最近は壁のあるところに行って争うくらいの気持ちを持って作品をつくることが多い。
・基地についてインタビューして感じたことは沈黙が大事だということ。言葉と言葉の間の沈黙に緊張感がある。そこには悩み、怒り、私に対して気を使っていたり、うがった見方をしていたりがある。スリリングだけどそこにリアルがある。だからこそ一番大事にしている。

遠藤麻衣 『コンテンポラリーへびんぽじゃじゃりの引退』
・コンテンポラリーな職業の引退をテーマにした。演技をすることは自分の作品の中の表現手法のひとつ。自分と違う役柄や遠い存在を扱ったりする。一方で、現実の生活と切り分けられずに作品をつくっているところもある。それが自分の制作のスタンス。だから後で大変になることもある。
・へびは壁に隔てられた二つの世界をすり抜けるような存在。壁が可視化されたときに、へびは暴力的に破壊するというよりもしれっと抜け穴からすり抜ける。

神村惠 (遠藤作品に出演)
・普段、自分が踊る上では引退ということと関係なくどうやったら続けていけるかを考えながらやっている。もし自分がダンスを引退してしまったとしても違う形で続けるかも。

小林清乃 『インタビューセッションセラピー・プラクティス「交わるとき、あなたの語ることの声」』
・ポートランドのレジデンスに行くまえに大事な人を亡くした。レジデンス中に体験した不思議な出来事や夜ごとみる象徴的な夢。同時に自分の中に抱え込んでいるさまざまな思い。目の前にある新しい環境と新しい仲間に入り込もうとするほど、 それらは複雑に絡み合い、物語り化していく。やがて自分に起きている経験と同じようなことを仲間や現地の人々も体験しているのではと思い始める。
・レジデンス先のディレクターに、自分のフィーリングにフォーカスして作品を作っては、と言ってもらえたことが、インタビューセッション・プラクティスという形の作品につながった。今回の展示は日本での新たなインタビュー音源を加え展示構成を改変したもの。

高田冬彦 『Dream Catcher』
・壁を作ることとか、その中でもがいている自分とか、でもそれをよじ登って越えたいという思いとか、そういう自分の中のぐずぐずを直視することが制作につながっていると思う。
・自意識過剰の問題、ねじれたナルシズムの問題は、現代社会では僕だけの問題ではないし、大事なことだと思っている。
・おとぎ話には、例えば塔に閉じ込められてそこから出るというような話が頻出する。思春期、自分と他人、子供と大人、そういった境界線のメタファーだと思う。
・思春期的な葛藤は大人になっても多かれ少なかれ続いていると思う。
・2〜3ヵ月くらい、人とも話さず部屋の中で街のミニチュアをつくっては壊しを繰り返していた。大変だったけれど僕にとっては至福の時間だった。

開催概要

日時:2018年11月17日(土) 18:30~20:30
出演:参加アーティスト8組
会場:三鷹中央ビル2階

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