teratotera

「人と人、街と街とをアートでつなぐ」 中央線沿線地域で展開するアートプロジェクト

TERATOTERA祭り2011 -post- ART

展示

吉祥寺の街に新進気鋭のアーティスト14組が集結した。
大型の立体作品がひしめき「アートの遊園地」と化した「吉祥寺PARCO」屋上をはじめ、ショッピングビル「コピス吉祥寺」や駅ビル「吉祥寺アトレ」内の空間、スーパーマーケット「西友」の店頭、そして飲食店がひしめく「ハモニカ横丁」の路地にもアートが進出。街を行き交う人々に、予期しないアートとの出合いをもたらした。街にちりばめられたアートが大胆に、あるいはさりげなく日常の風景を変容させた11日間だった。

 

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SONTON《吉祥寺ガッパ》
アーティスト3人のユニット「SONTON」は、工事の足場用に使われる素材で高さ4メートルを超す立体インスタレーションを展示。テーマは「吉祥寺ガッパ」。人形や玩具をちりばめ、カッパが水を吐く仕掛けも盛り込み、猥雑でユーモラスな「見世物」を出現させた。

 

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東方悠平《夏の日の0815》
昭和の日本の不思議な文化、屋上遊園地に着想を得て、屋上に不思議なメリーゴーランドを設置。お盆に登場する精霊馬がモチーフで、「3.11」に起きた震災のことも踏まえ、命とか生きることとか現世のことなど抽象的なものを考えられるような作品を展示した。

 

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永畑智大《シナプスは音をたてて夢精する》
永畑智大は、発泡スチロール製の人形のような彫刻を、吉祥寺 PARCO屋上に張ったロープに沿って滑走させる作品を展示した。彫刻は次第に速度を上げていき、最後にはシンバルに音を立ててぶつかる。また、彫刻はどきりとするような存在感を放ちながらも、ユーモアあふれる姿や表情とともに荒削りされた発泡スチロールという素材感が素朴な温かさを感じさせる。その彫刻によるにぎやかなパフォーマンスが観客の目を引きつけていた。

 

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タムラサトル《バタバタするTシャツ》
屋上の片隅にひっそりと干されている色鮮やかなTシャツ、よく見ると「バタバタ」という文字が書かれてある。何ごとかと思いきや、機械が動き出して、Tシャツが回転する。字面通りに「バタバタ」し始めたのだ。タムラサトルの作品は、物事の意味を再考させると同時に、思わず笑みがこぼれてしまうユーモアをたたえている。

 

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利部志穂《黎明》
テーマは「黎明」。空気を入れると膨らむビニール製の筒状の帯を何重にもグルグル巻きにした、直径5メートル程の巨大なオブジェ。「黎明」という名の通り、オブジェ自体が屋上という場で外気に触れ、完成形を目指しているかのように日々形が変わっていた。色彩がほとんどないが不可思議な存在感がある作品であった。

 

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有賀慎吾《Fragments of the Yellow Swamp》
かまぼこ型のテントが会場片隅に出現した。内部には、ひげをはやした奇妙な人形やパフォーマンスの映像を流すテレビモニターなどが雑然と配置されている。黄色と黒という警戒感をいだかせる配色をともなう有賀慎吾のインスタレーションは、腰をかがめて内部をのぞきこむ鑑賞者を非日常的な体験へといざなった。

 

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和田昌宏《何も持たずに生まれ、何も持たずに死ぬだろう》
和田昌宏は八角柱の檻のインスタレーションを制作した。檻の中に存在する疑似自然を支えるのは、マネキンや電飾、鳩の餌が過剰に詰め込まれたショッピングバッグ等により暗示される消費文化だ。檻により分断された鑑賞者と作品の位置関係が支配と従属、自然と文化など様々な二項関係を喚起させる。また、空へと開放される混沌とした疑似自然は吉祥寺の街や自然と繋がり野鳥を招いている。

 

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村田峰紀《孤高のヒーロー》
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村田峰紀《背中で語る。》
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村田峰紀《ロックドローイング》
自らの身体を用いてパフォーマンスを行う作家、村田峰紀の等身大パネルが屋上に出現。観客はパネルに顔をはめて写真撮影してみたり、近くから遠くから連なるパネルを眺めてみたり。初日と楽日には、舞台の上で躍動感あふれるヒーローショーを思わせるパフォーマンスを繰り広げ、観客を非日常の空間に誘った。

 

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松原壮志朗《人形劇「信頼」》
松原壮志朗は劇場型のインスタレーションを展示し、そこで10月23日に人形劇を上演した。人形劇「信頼」は、バンドによるライブ演奏とともに上演されるため、表現と演出は毎回異なる。愛と憎悪の相克をめぐる物語は、音楽と響き合うことでさらに感動深く、観客は閉幕後もその余韻に浸っていた。

 

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遠藤一郎《未来へ》
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遠藤一郎《人っていいなぁ》
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遠藤一郎《遠藤一郎写真展 – 東日本大震災 被災地での活動報告》
遠藤一郎は「未来へ」「人っていいなぁ」と大書した2枚の幕を展示した。「3.11」後、何度も被災地を行き来しており、その活動の中から絞り出された言葉を大きな幕として表現した。コピス吉祥寺の巨大な懸垂幕は老若男女全ての人が温かい気持ちになる、そんなハッピーな作品。吉祥寺パルコの横断幕は、屋上の廃墟的な雰囲気と相まってモノクロの力強い作品となった。

 

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齋藤雄介《so tight, so deep》
齋藤雄介は、抽象的なペインティングを施したエアーベッドをコピス吉祥寺のテラス「吉祥空園 sora」の林に配し、ラップによりそれらを覆うインスタレーションを展示した。公共空間に私的空間としてのベッドを紛れ込ませ、ラップに映し出されたものは憩いなのか、と公私の境から齋藤は問うている。また、木々を束ねるラップは、全体の結束を高める一方で個の自由を抑圧するコミュニティの表裏を静かに告発している。

 

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淺井裕介《マスキングプラント》
西友の正面入口に位置する2本の円柱を大きなキャンバスとし、マスキングテープの上にマーカーペンで描く作品「マスキングプラント」を制作、ダイナミックに張り巡らせた植物や生き物のモチーフのマスキングテープにより、普段見慣れた日常的な生活空間を新たなものへと変容させた。

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岩井優《横丁の旗》
岩井優はボランティアにタオルでハモニカ横丁を掃除してもらうプロジェクトを実施し、その様子を記録した写真を横丁内の壁面に展示した。また、使用したタオルをつなぎ合わせて一枚の大きな旗にし、横丁内の店舗屋上で旗振りパフォーマンスを実施。ハモニカ横丁への敬意とともに、被災地、そして「3.11」後の日本へエールを送った。

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志村信裕《Crown》
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志村信裕《赤い靴》
志村信裕は、日没後のハモニカ横丁で映像インスタレーション2作品を展示した。ハモニカ横丁の建物上部には、長年の店の入れ替わりの中で取り残された波板があり、そこに「赤い靴」を投影した。落下しては引き上げられる靴の映像は、通りに並ぶ赤提灯とよくなじみ、横丁を訪れる人々をそっと迎え入れた。もう一つの作品「Crown」は、飲食店「ハモニカキッチン」3階から闇市の面影を残す屋根に投影。瓶ビールの王冠が降っては散らばる映像は、お酒を飲みに偶然足を運んだ人たちをも楽しませた。

開催概要

2011年10月20日(木)〜30日(日)
会場:吉祥寺PARCO[屋上]、コピス吉祥寺[A館3F 吉祥空園sora]、アトレ吉祥寺B1[ゆらぎの広場]、西友吉祥寺店正面入り口、ハモニカ横丁、ハモニカキッチン屋上・3F
参加アーティスト:SONTON、東方悠平、永畑智大、タムラサトル、利部志穂、有賀慎吾、和田昌宏、村田峰紀、松原壮志朗、遠藤一郎、齋藤雄介、淺井裕介、岩井優、志村信裕

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