みんなデザインが良すぎるんです
- 小川
- 今日の「アートプロジェクトで789(なやむ)」は、ゲストに遠藤一郎さんをお迎えして話を進めて行こうと思います。一郎くん、よろしくお願いします。
- 遠藤
- 遠藤一郎です。よろしくお願いしま~す。
- 小川
- このトークシリーズは、日本全国で定着しつつある地域活性型のアートプロジェクトについて考え、そこにいろんな立場で関わっている人たちの悩みをシェアしていこうというものです。一郎君はいろんなプロジェクトに引っ張りだこですね。じゃあ早速、悩みを。
- 遠藤
- 僕は本当にいろんなところでプロジェクトをしているので、全体を網羅することもできない状況なんだけど、はじめて行ったのは鹿児島だったと思うんだよね。桜島でやったプロジェクト。
- 小川
- 2007年の「SA・KURA・JIMAプロジェクト」ですね。淺井裕介くんも出てました。
- 遠藤
- そのきっかけを作ってくれたのが美術家の藤浩志さんだったんですよ。街にある空き家やスペースを活用して、アートから社会を考えるっていう最近の流れを始めたのが藤さんという気がするんですけど、この2、3年くらいで、日本のあちこちで「アートで街を活性しよう」という動きが現れてきて、ちょっとびっくりしてる。その流れはすごくいいと思うんだけど、みんなデザインが良すぎるんだよね。
- 小川
- デザインというのは、どこまでのレベルの話?
- 遠藤
- 全体。どこからお金を持ってきて、どういうスタッフで陣営を組んで、どんなアーティストを呼んで、大義になるコンセプトをつくって、チラシをデザインして、集客方法を考えて、っていうのがめちゃくちゃ頭で計画されてしまっている。まあ考えるのは当たり前のことですけど。でも、ある場所で成功したデザインや枠組みをそのまま違う場所に持っていくっていうのは、やっぱり不自然になるとすごく思うんだよね。だって、大前提として街プロジェクトの何が面白いかといえば、街そのものでしょ? 例えば三鷹にはこんな面白い店があって、そこに名物お姉さんがいて僕らを楽しませてくれるっていう。そういうのが面白いわけじゃない。
- 小川
- そうですね。
- 遠藤
- そして、三鷹にいる人や場所に対して、外から違う可能性をボーンとぶつけてみるのがアートのめちゃくちゃ面白いところでしょ。
- 小川
- 化学反応を起こすように。
- 遠藤
- そう、その都度違う反応が起きてね。だから、別の街での成功例を持ってきて同じように成功させようとすると、それはどうしても強引になってしまう。デザインが柔軟じゃない気がする。
- 小川
- 完成度は高いけど、柔軟じゃない。
- 遠藤
- 街プロジェクト自体の経験値が蓄積されて、フォーマットが固まっていくと、やっぱり決まったフレームが作られていっちゃうんですよ。本当は、場所ごとの個性はまったく違うし、そこで起こることも毎回違うはずで、そこに同じフレームを持ちこんでくるっていうのはもったいない。
- 小川
- 運営側として実現性を考慮すると、どんどん同じような作家を選んでしまうよね。そうするとプロジェクトの新鮮度はなくなっていって、魅力が減っていくというのは容易に想像できる。
- 遠藤
- でもさ、最初の頃の誰も何もわからない感じとか面白かったでしょ。まったくアートプロジェクトに合ってない、変なアーティストを呼んじゃったりとかさ(笑)。
- 小川
- 面白かったよね。
- 遠藤
- 凸凹の凹にハマらないような奴らが呼ばれちゃって事故的に盛り上がったりして。その噂を聞きつけた別の商店街の商工会が立ち上がって、アートキュレーターのような専門職ではないところから別の動きが現れるような、変な「ねじれ」があった。で、今思うと街プロジェクトで大事なのは、その「ねじれ」をつくることなんじゃないかと。本当に街プロジェクトがやるべきことはそれなんじゃないかと思っていますね。
800人で校庭に「んだ」って書くということ
- 小川
- 本当にこの3、4年で一気にいろんなところでアートプロジェクトが現れて、展開して、収束しているように見えるけれど、本当はそんな短いスパンで文化が生まれてくるはずがないじゃない。例えば現代アートには大体100年くらいの歴史があるけれど、そのなかでもいろんな展開があったよね。ところが街中で行われているプロジェクトでは、当事者が自分で枠を作ってデザイン化してしまうことで進化できなくさせている。
- 遠藤
- だから僕も、5年前と最近ではプロジェクトへの参加のやり方が変わってますもんね。
- 小川
- その変化について喋ってもらってもいい?
- 遠藤
- 最初は凧揚げをやりまくってましたね。今もやってますけど。
- 小川
- 凧に、一つずつ自分の未来への希望みたいなのを書くんだよね。
- 遠藤
- 凧に夢を書いて、夢を大空に上げるっていう。空は唯一隔たりのない無限のフィールドで、連凧にすることでみんなの夢がつながって上がる。それでいろんなところへ呼ばれて凧揚げするようになったんだけど、だんだんと単なる凧揚げ野郎みたいに思われるようになっちゃった。もちろん一回一回は楽しいんだよ。場所によってまったく違うことが起きるから。でも、街プロジェクトのイベントとしては運営側と僕ら作家側の間で、あらかじめかたちが想像できるようになってしまった。それってさ、もう面白くなくなっていく前兆でしょ?
- 小川
- マンネリ化していくね。
- 遠藤
- だから僕もだんだんやり方を変えてきた。必然的に。
- 小川
- 最近、学校の机を使って大きな文字を作っていたよね。
- 遠藤
- そう。最近人文字を始めたの。このあいだ、秋田でやった時は、高校で人文字をやったんだよね。で、全校生徒800人位に秋田の方言といえば何ですか?」とトークショーの場でいきなり質問した。観客はただ聞いてればいいと思ってるからね。そんなトークはもう飽き飽きなんですよ! (客席に向かって)秋田の方言ってなんだと思います?
- 観客
- 方言ですか?単語とか……?
- 遠藤
- 方言ですよ。じゃ、ヒント。志村けんが言いまくってた。俺もそれで覚えてたんだから(笑)。志村けんは、何でもこの言葉で済ますんだよ。いいことも悪いことも。
- 観客
- 「だっふんだ」……?
- 遠藤
- それは完全に志村けんのネタですよね。それは秋田じゃない(笑)。あのね、「んだ」です。「んだんだ」っていうんですよね。で、800人で校庭に「んだ」って書いたんだよ。でっかく。
- 小川
- 「だっふんだ」って書いたらどうなるの?
- 遠藤
- 「だっふんだ」は完全にダメだよ、志村けんのおなじみのネタなんだから。でも「んだ」だと、800人がちょっと「え!?」ってなるわけ。
- 小川
- そこがいいところだね。
- 遠藤
- そう、目がきょとんとして。で、先生たちがね「(目印として)ライン引かなくていいんですか?」って聞くんだよ。そういうところがすごく学校らしいんだけど、ライン引いたら全然クリエイティブじゃないでしょ。せっかく脳みそがあるのに、頭使うなって言ってるようなもの。そこは800人で上手に作れようが作れまいが、わからないなりに、隣の人とコミュニケーション取ったりバランス取ったりしながら、ウョウニョやればいいんだよ。史上最大サイズの「んだ」なんだから、上手くできなくて当たり前。でも、考えた末にそれが完成したら、その事実はできるでしょ?それで、出来上がった「んだ」を見てびっくりしたんだけど、事前に俺が手書きした「んだ」にそっくりなんだよ(笑)。
- 小川
- それは面白いね。伝わってるんだろうね。きっとね
- 遠藤
- 説明できないけれど、そこの部分がやっぱりアートじゃない?それで、秋田の方言になるってことだけは最初に伝えるけれど。そうすると気の利いた学生がたまたま「んだっ!」って言ったんだよ。やっぱり一番使う言葉なんだろうね。それで、なぜ「んだ」を書くのかというと、北国は厳しい環境だから、雪が降ったらしょうがないから「んだ、んだ」だし、春が来たら春が来たで「んだ」。喜怒哀楽、全部(を含んだ言葉)なんだよね。
- 小川
- それ本当? 一郎くんのイメージじゃないの(笑)。
- 遠藤
- (笑)それによって、君らは育まれてきたんだよってのを、よそ者である僕が言う。外からじゃなきゃわかんないことがあるからね。 それで、3分くらいみんなで目をつぶって「んだ」のイメージトレーニングをさせて……。まあ、後ろの方とかマジメに目をつぶりゃあしないけど、この際つぶらなくたっていい。それで、本当に「せーの!」で動き始めるのね。最初は体がついていかないからだらだらして見えるんだけど、友達同士で考えて動き始めると、少しずつ変わってくる。女の子とか、きゃっきゃっ言って腕組みながらうろうろしてみたりだとかやり始めるんだよ。僕はあちこち走り回って、メガホンで「そこ、3歩前に出るともっとよくなるぞ!」とか指示を伝える。そうやって「んだ」がちょっとずつ出来上がっていくのね、それってめちゃくちゃクリエイティブでしょ。
- 小川
- へー! 面白いね。
- 遠藤
- 最近は人文字が面白くなってきちゃって、これからもやろうかなと思ってるんですけどね。
全国のお茶を飲み歩いて、その街を理解する
- 小川
- 街中でのプロジェクトに関わっていると、だんだん呼びやすい作家に固まってきたり、呼ぶ側も疲れてきて年に一回くらいにしておこうとか、疲弊していっているのが目に見える。そういう形骸化した状況を打破するために、運営側とアーティスト側には、どんなことが必要なんだろう。
- 遠藤
- 打破するのは簡単なんですよ。さっきから言っているけど、予想外のことをすれば新しい可能性が生まれる。で、それを実際に勇気を持ってやってしまうバカが増えた方がいい。一回でも成功例やそのためのやり方を習得すると、案外バカなことが出来なくなっちゃうんだよ。ちょっと違う話になってしまうけど、僕ね、プロジェクトで全国回りながら何してるかっていうと、全国のお茶を飲み歩いているんだよ。お茶が大好きだから、あとヨーグルトも好きなんだけど(笑)。
- 小川
- 一郎くん静岡出身だからね。でも、ヨーグルトは知らなかった(笑)。
- 遠藤
- ヨーグルトの話もすごく面白いんだけど、話が長くなっちゃうからね。お茶の銘柄ってたくさんあるでしょう。袋詰めされていて、どれが美味しいかなんてわからないじゃない。でも、僕は美味しいお茶の見分け方を発見したんだ。まずパッケージは絶対ダサい方がいい。間違いない。パッケージのデザインに労力を割いてないやつの方が美味いのよ。
会場(へえ~)
- 遠藤
- 職人は、茶葉を毎日手で揉んで、ずっと匂いを嗅いでいるわけで、そんなことやっていたらデザインなんかに凝ってる暇はないんだよ(笑)。デザイナーに頼んでパッケージにお金かけるぐらいだったら、もっとお茶畑を良くしようとするわけ。ストレートな話でしょ? 東京の高いデパートとかに行くと、生産者の名前がいい感じの書体で書かれたようなデザインのお茶が売っているけど、ああいうのは大体よくない。地元の農家から、そのまま卸したみたいなのが美味しい。
- 小川
- 一郎君もパッケージに騙されたことある?
- 遠藤
- すごく騙されてる。お茶の例を出した意味がわかるでしょ? つまり本質を隠してしまうデザインをすることは良くない、って話。デザインって本質を隠して、もっとよく見せるとか出来ちゃうでしょ。それが危ない。
- 小川
- それが最初のデザインの話につながってくるわけだ。ヨーグルトの例もあるの?
- 遠藤
- 似たようなもので、ヨーグルトも地方のスーパーで売っている、地方ブランドのヨーグルトが美味しい。これも街プロジェクトにつながる例だね。
- 小川
- 聞きたい。
- 遠藤
- 僕が知らない街へ行って最初にすることは、まず地元の神社への参拝なのね。神社ってさ、街の人たちの心や文化のよりどころだったりするじゃない? そこの空気を吸うことで、街の空気が掴めるんだよ。神社が街の中心だと言えるとも思う。それと同じ理由で猫もよく見るんだよね。猫ってその街の性格がすごく出ているんだよね。
- 小川
- なるほど。
- 遠藤
- それとヨーグルトを食べる(笑)。ヨーグルトって、地方によって味も違うし、見た目も違うし、粘りも違う。本当ですよ。で、その差って何かというと、やっぱり土地なんですよ。そこの土地で飼育されている牧場の牛が、大地の草を食ってるわけで、牛の中で化学反応が起こって、お乳になって出て、それが菌によって発酵させられてヨーグルトになる。ヨーグルトには、その土地の菌が必ず混入されるんですよ。常在菌というものがあって、一人ひとり全然違うんだよ。指紋と同じくらいに全然違うの。
- 小川
- へえ~。
- 遠藤
- そう思うとさ、ヨーグルトを食べることでその街を理解するための引き出しが増えるでしょ。お茶もヨーグルトも本当に面白いよ。それでデザインの話に戻るけど、やっぱりデザインも地元のその辺の人に頼んだほうが、下手かもしれないけど、土地の感覚をかたちにするという意味では上手いんだよ。予想外の変なものが出来てくる。
- 小川
- そこには発見があるよね。
- 遠藤
- そうでしょ。で、それを良しとしてしまう勇気を僕らは持ち合わせた方がいいと思う。
- 小川
- TERATOTERAもそうなんだけど、行政と組んで一緒にやると、行政側は変化を怖れたりするじゃない。おそらくそれはどこの街プロジェクトでも一緒だと思うんだけど、一郎くんはそれをどうやって回避している?
- 遠藤
- そこは真っ向からぶつかるしかない。ケンカしないとわかりあえないことってあるでしょ。考えの違う者同士で仕事をするのも、ケンカするのも、それは疲れるよ。でも街に出て何かやろうってんだから、そりゃぶつかりはあっていいでしょ。あるべきだよ。
- 小川
- でもさ、中には「これでどれだけ儲かるの?」ってことしか考えてない人もいるじゃない。
- 遠藤
- そう聞かれたら、はっきり「わからない」って言っちゃいますね。「まったく先のわからない、今までになかったことをやろうとしてるんだから、もしそれを数値化して僕が語れたとしたら、それは全部嘘でしょう?」。そう言いますね。
- 小川
- それを言うと、相手に茫然とされない?
- 遠藤
- 運営側の気持ちはわかるよ。助成金を取るためには、経済効果とか企画書に書かなきゃならなかったりするし。だけど、企画書に書かれていることってのは、超えていかなきゃいけないものでしょ。数量で見たら、一人か二人しか来ないことだってある。でも、その初めの一人とか二人が実はめちゃくちゃ重要だったりする。その二人のためにやったんだ、やるんだ、ってくらいの気持ちを持った方がいいと思う。
コアベルが怒られてるのを見て、めちゃくちゃホッとした
- 小川
- 後半は、トーク後のライブに出演するcore of bells(以下、コアベル)の曾田洋平さんにも加わってもらいます。コアベルにはTERATOTERAに一回出てもらったことがあります。「大きい音は出せないよ」と伝えて、リハーサルではボサノヴァみたいな超スローな感じでやったのに、本番になったらいきなり超爆音で演奏。それで出入り禁止になった(苦笑)。
- 曾田
- それだけ聞くとすごい嫌な奴ですね、僕ら(苦笑)。
- 小川
- コアベルはいつも約束破るわけじゃないけどね。
- 曾田
- もちろん、すごい真面目なバンドです(笑)。
- 遠藤
- コアベルやばいんだよね。6組くらいアーティストが出演したある企画で、本番になったら椅子を客席に投げるのよ。すんげー怒られてた(笑)。
- 曾田
- いや、パフォーマンスのつもりだったんです。
- 遠藤
- それはそうでしょ! パフォーマンスじゃなかったら怖いわ、そんな奴ら。
- 曾田
- 何組かと一緒に呼ばれた場合に、自分らはどういう存在として企画者に捉えられてるのか、考えるんですよね。その期待に応えるか応えないかは別ですけど、まあその時は椅子を投げておこうかと思ったんです。
- 遠藤
- その違いがイイですよね。俺1人で出演してたから、何か舞台裏とか寂しかったんだけど、コアベルが怒られてるのを見て、めちゃくちゃ俺ほっとして、自分の演目がすごくよい内容になった(笑)。
- 小川
- 曾ちゃん的にこのトークのテーマはどうですか? 悩みとか。
- 曾田
- やっぱり街に馴染んでいくのは大変ですけど、馴染みすぎるのもどうかな、ってところですかね。遠藤さんのさっきの机の話、面白かったです。
- 遠藤
- 人文字のプロジェクトね。やっぱり机を使うことが大事でさ、学校の机なんて、1年生から3年生まで受け継がれていく、青春の賜物そのものじゃないですか。ただ、事務局が学校に説明しに行ったら、机を出すのを学校側が最初は嫌がったんだって。机を出したらバタバタするし、中に入れるのに足を拭かなきゃなんないとかいろいろ。それで事務局が「やっぱり机は無理でした」って言ってきたんだけど、そこでシャットアウトしたらダメでしょ。校庭に机があるという状況を作り出すのが面白いわけだし、その状況を作り出すのが芸術になるわけで。落ち着いて考えてみれば、机を出すなんて本当に造作もないことよ。机の足をキュッキュッて拭くとか、机のなかの荷物を一度外に出すとか造作もないよね。頭のなかにある枠をちょっと解除してあげればいいだけの話なんだよね。
- 小川
- なんてことないよね。その人文字のニュースは、秋田県の地方新聞の紙面を制覇したんだよね。
- 遠藤
- 秋田魁新報っていう地方紙があるんだけど、その第一面に「STAP細胞実現せず」ってニュースと一緒に、僕たちの人文字の写真がでっかく載ってんだよ(笑)。そうすると先生たちは喜ぶし、学生たちも「ワーッ」ってなる。そうすると、面白かったねっていう一つの事実が生まれるんだよね。
- 曾田
- 800人の高校生が、人文字の記憶を何年後かに思い出して、「バカな企画だったよな〜、でも楽しかったな〜」みたいなことが起こると、すごくいいと思う。
- 遠藤
- そうなんだよ。「んだ」以外に、他に3校で人文字をやっていて、その3校は再来年に統合される学校なのね。僕はそこで、「大」「家」「族」って字をそれぞれでやって「大家族」っていうのを作った。それは3校が統合した時に、また意味を持ってくる。
- 小川
- それ、コンセプチュアルだね。でも、「族」の人がちょっと微妙だよね(笑)。
- 遠藤
- 大館高校では、そのまんま「大」の人文字を作ったの。それで、大館桂高校っていう女子校では「家」。それで「族」は大館工業高校っていう男ばっかの学校で作った。いい感じにはまってるでしょ!
- 曾田
- テイストに合ってますね(笑)。
- 小川
- 最後に会場から質問を聞きましょうか?質問ある人……。いないみたいですよ。
- 遠藤
- ないとか絶対にダメ、それで本当に済むと思うなよ! というか、質問だらけでしょ、どう考えても。やっぱりぶつからないといけないよ!
- 曾田
- お客さんが受動的な状態を変えたいですね。
- 遠藤
- どうやって変えたい?
- 曾田
- お客さん参加型みたいな能動的すぎるのとは全然違うんですけど。でも「居眠りしてもいい」なんて思うなよ、ってことは言いたい。あとね、自分たち自身も失敗する可能性があることをやりたい。
- 遠藤
- 素晴らしい。それですよ。本当に失敗したいんじゃないんだよね。失敗することをやんなきゃいけないんだよね。
- 遠藤
- 今はすべてが大元で失敗しないようになってるから。だから面白くなくなっちゃうんだよ。
- 小川
- 痛い目見た方がいいよね。
- 遠藤
- というところで、もう一回質問聞きましょうよ。
- 質問者
- 街プロジェクトをやる時に、拠点が必要になると思うんですが、拠点を見つけるコツはありますか?
- 遠藤
- 見つけるコツ?えーっと、それはね……。運営側の小川さんにもあると思うんだけど、どうですか?
- 小川
- 街歩きをしていると、やっぱり作家が見つけますよね。アーティストの嗅覚みたいなものがすごくあると思います。
- 遠藤
- 例えば、場所って言うけれど、そこが拠点になりうる場所になる根拠は、やっぱりそこにいる人なんだよ。面白い場所には、面白い人がほぼ100%いる。
- 質問者
- 人探しの延長線上に、場所が浮かび上がってくる感じですか?
- 遠藤
- それはわかりやすいね。でも見た目にも現れるんだよ。人のいいところっていうのは人それぞれで、派手なよさもあるし、内に秘めたよさってのもある。見た目で判断するな、っていうのはよく言うこうとだけど、でも内面ってどうしても外に出ちゃうんだよ。
- 曾田
- そして、そこに自分から飛び込んでみるっていうのが第一歩ですよね。例えば飲み屋のマスターって自然といろんなお客さんと話すじゃないですか。そうすると、マスターを起点にいろんな道や繋がりが見えてくるというのが多い気がします。
- 遠藤
- 僕はそれをドラクエみたいな感覚で「調べる」って呼んでる。
- 小川
- コマンドで「調べる」(笑)。
- 遠藤
- 草むらを調べるのと同じ作業なんだよね。「あそこに面白い人がいるよ」とか「あそこにタダで泊まれるよ」みたいな情報を手に入れて、旅人はそうやって渡っていったりする。そうやって、よくわからない、新しい未知なことに辿りつくの。それが拠点になる場所や人を見つけるコツだよね。