teratotera

「人と人、街と街とをアートでつなぐ」 中央線沿線地域で展開するアートプロジェクト

第1回

ディレクターくにときの 途中下車の旅
第1回 西荻窪

チャンキー松本さん(アーティスト)、いぬんこさん(イラストレーター)
2011年09月12日更新

第1回となる今回はディレクター、國時誠が住んでいる西荻窪に途中下車。この町を拠点に活動するアーティストのチャンキー松本さん、イラストレーターのいぬんこさん夫妻をゲストに迎え、アートと地域の関わり方、西荻の魅力などを語ってもらいました。チョンマゲを結い、メガネをかけた個性的ないでたちのチャンキーさん。いぬんこさんと一緒に自転車を押しながら夕暮れ時を歩く姿は西荻にとても馴染んでいて、ずっと昔から住んでいたような雰囲気。でも2人はもともと大阪を拠点にしていて、西荻にきたのは少し前のこと。いぬんこさんは1年前、チャンキーさんは2ヵ月前に引っ越してきたそうです。

沖縄にある竹富島って小さい島にも近い

國時
「今回は町にどっぷり浸かっている人に町を話してもらうより、大阪から来て間もない2人に今感じている西荻を好き勝手に話してもらう方が自由でいいなと…。2人はどんなきっかけで東京に引っ越してきたんですか?」
チャンキー
「奥さんが1年前にNHKの仕事でアニメーションを制作する事になって、大阪じゃ大変やって事ですね」
いぬんこ
「打ち合わせが増えたんです。こういう機会だから1回くらい東京に住むのもいいかなって思って…」
チャンキー
「イラストレーターが住んでいるアパートが西荻にあって、お友達の別の作家さんも同じアパートに住んでいて、その子が家を残したまま東京を離れて沖縄に行ってたんですよ。誰か住む人おらんかなという事で、間借りの状態で入ったんです」
いぬんこ
「最初、東京に住もうかなって思った時、江戸っぽい文化が好きやから東の方って思ったんやけど、谷中の辺の家賃が思ったより高くて、どうしようと思っている時にその話をもらって、たまたまのご縁で西荻に住む事になったんです」
國時
「西荻に住んでみてどうですか?」
ニコバルにて

ニコバルにて


piyototochat(ピヨトトシャ)にて

piyototochat(ピヨトトシャ)にて

チャンキー
「僕たちが住んでいた大阪の谷町界隈とすごく感じが似てるんちゃうかなって…。中崎町とかは小さなお店がいっぱいあって、この辺りと雰囲気が似てるんですよね。あと、東京に来て思ったのは緑が多い。大阪って緑がメチャメチャ少なくて、町に木がないですから。それと沖縄にある竹富島って小さい島にも近い。その島はお店がちょこちょこあって箱庭みたいな感じなんです。その島に似ていて、かわいらしい町ですよね。女の子も好きでしょ?僕みたいに外から来たヘンテコな人間は住みやすいんじゃないですか」
いぬんこ
「新旧いろんなお店が入り混じっていてな。昔のドラマで見た風景に近くて何だか懐かしい。細かいところも手が行き届いていて安心感があるし、治安も良い感じがする。イベントの時も皆やさしくて、交流しやすかったですね」
國時
「町について話すと言っても結局は人になっちゃいますよね。町は人がいるからできてるので…」
チャンキー
「人なんですよね、どこまでも。僕は縁とかを一番大事にしているんですよ。住んでる家も大事やと思うんですけど、僕の中では家って町全部みたいな感覚。住んでる所は寝るスペースみたいなもん。それはそれで大事ですけど、歩いて1、2キロの圏内に楽しい所がないとね。それ全部で家みたいな感覚じゃないと飽きちゃうんですよ。家でパソコンをしたり、テレビを見たりしてもそない面白くない。大阪でもそんな感じやったし、東京でもできるかちょっとわからなかったけど、この町やったらそういう感じでできそうかなって思いましたね。店の近くを通ると声をかけてくれるとか、大阪と同じような感覚ですよ。東京の人って、その辺はもっとドライなのかなって思ってたんですけどね」
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話に引き込まれる軽快な関西弁、穏やかな表情が印象的なチャンキーさん。今度はアートに対する考えに迫ってみました。大阪では、切り絵師、イラストレーターとして活動していた傍ら、音楽、司会、パフォーマンスなど、様々な事をやっていたそうです。そして、西荻で最初に開いたイベントが「かおあわせ展」。西荻でお店を営む40人の人たちの切り絵をギャルリーノンで展示したイベントで、國時も切り絵をしてもらった40人の1人。

東京って意識するより自分が住む街を楽しくする

チャンキー
「今回は、たまたまギャラリーの方が声をかけてくれて、自由にやらせてもらいました。そういうのが楽しいですよね。あんまりカチッと決められて、その箱の中でせいって言われるよりも自由にいろいろやるのがね。西荻に住んで、西荻で展覧会をやる。東京って意識するより自分が住む町を楽しくする。大阪でもそうやったし、それは変わらないですね」
國時
「知っている人の顔がバァーって並んでいるのは、ちょっと不思議な感じでした。見ながらニヤニヤしちゃって…。切り絵を見て『この人知っている』とか、『あの人に似てるな』とか…。切り絵をやる時に心掛けていることはありますか?」
チャンキー
「心掛けているのはデフォルメしないこと。最初にパッと見た瞬間の顔を一番大事にする。相手の顔を4、5分見るんですけど、最初の顔と1分後の顔、2分後の顔が違うんですよ。その変化していく中で、どの辺で収めようかなって自分の中で葛藤しているんですよ。5分位の中にもドラマがあるんですよね。最終的にはその人に喜んでもらえるものを作らなアカンと思っているんです」
似顔切り絵中のチャンキーさん。

似顔切り絵中のチャンキーさん。


私も切って頂きました!むむ、似ている。 口と眉が特徴だそうです。

私も切って頂きました!むむ、似ている。
口と眉が特徴だそうです。

「かおあわせ展」をきっかけにたくさんの知り合いができたチャンキーさん。この切り絵によって、西荻の住民たちにも多くの会話が生まれ、新たな繋がりもたくさんできました。

自分の仕事が人と人を繋ぐ事に役立てば面白いんやろな

國時
「切り絵は世代を超えて皆に喜ばれますよね。ライフワークのようなもの?」
チャンキー
「そうですね。若い頃は自分の芸は自分のために使うもんやと思ってたから自分の作品を作るために芸を使っていた。でも、40歳を過ぎて、大げさやけど、この芸をみんなのために使えればって思うようになったんですよ。自分のために使うのはもう終わったかなって…。芸術とかアートっていろいろあってエエと思うんやけど、老若男女の方を喜ばすってなかなか難しい。なんぼアートやったって、わかる人にしかわからない。やっと、これやったら老若男女が面白がってくれるって事が何とかできるようになりました」
「待ち合わせは伊勢屋さんにしましょうか?」とチャンキーさん。 似顔切り絵展がきっかけで親しくなった伊勢屋店主の猪鼻さんは西荻窪商店会連合会の会長さんでまさに西荻の顔的なお方。西荻の話からはじまり、突如始まった野点用の茶道具の手ほどきにフムフムと一同感心のひとコマ。

「待ち合わせは伊勢屋さんにしましょうか?」とチャンキーさん。
似顔切り絵展がきっかけで親しくなった伊勢屋店主の猪鼻さんは西荻窪商店会連合会の会長さんでまさに西荻の顔的なお方。西荻の話からはじまり、突如始まった野点用の茶道具の手ほどきにフムフムと一同感心のひとコマ。


展示会場になったギャルリーノンにふらりと立寄り談笑中のチャンキーさんといぬんこさん。井戸端会議的な話の輪が西荻流儀。

展示会場になったギャルリーノンにふらりと立寄り談笑中のチャンキーさんといぬんこさん。井戸端会議的な話の輪が西荻流儀。

國時
「チャンキーさんのアートに対してどんなスタンスを持っているんですか?」
チャンキー
「何年か前に自分の仕事って何やろなって考えた時期があって、自分の仕事が人と人を繋ぐ事に役立てば面白いんやろなと思ったんですよね。有名な人がイベントをして、いっぱいの人が集まるのも意味があると思うんです。僕らはそういうやり方ができないけれど、今回のようなやり方で、人と人を繋ぐ役目になりたいですね。店を持っていて、なかなか動けなかったり、知っているけど話した事がなかったり…。そんな人たちの間を飛ぶ人がいれば繋がりますよね」
二人とも激似!

二人とも激似!

対談中、終始人なつこい笑顔を浮かべながら話してくれたチャンキーさん。自分の表現方法ではなく、人のためにアートを役立てたいという優しい気持ちはそんな表情にも表れていました。地域に根を下ろしてアーティスト活動を続けるチャンキーさんといぬんこさん。今後、2人は西荻を舞台にどんな活動を行っていくのでしょうか…。

TEXT:下田和孝

今回おじゃました店

piyototochat(ピヨトトシャ)|カフェ|
杉並区西荻南2-24-17 03-3332-0220
営業日:水~日 13:00~21:00
http://www.piyototochat.com/

ニコバル|スペインバル|
杉並区西荻北3-1-9山屋ビル3F 070-6463-1009
営業日:金、土 12:00~23:00
http://web.me.com/niconoohirugohan/

伊勢屋美術|骨董|
西荻北4-5-22 03-3399-2756
営業日:月~土10:00~19:00
http://www.iseyajuan.com/

ギャルリーノン|洋服・雑貨|
杉並区西荻北4-3-4 美光弐番館101 03-3394-5670
営業日:火~日13:00~19:00
http://www.batta.co.jp/

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